インフルエンサーと景品表示法|TikTok Shopの注意点
TikTok Shopでクリエイターに商品を紹介してもらうときは、広告であることの表示に加え、品質・効果・価格の説明も確かめます。PRと書いてあっても、商品の内容やお得さを実際より著しくよく見せる説明の確認は残ります。企業が根拠と適用条件をそろえ、本人へ渡してから紹介を進めます。
この記事では、優良誤認・有利誤認・ステマを分けた確認表と、セール価格や注意書きを見直す手順をまとめます。割引率をどう決めるかより、決めた価格をどの根拠と条件で伝えるかに絞った、依頼企業向けの整理です。
01商品の品質と価格の説明も、依頼する企業の確認に含めます
景品表示法は、一般消費者に誤認される不当な表示を禁じる法律です。2026年11月6日に取得した消費者庁「表示規制の概要」では、品質や価格を実際よりも著しく優良、または有利に見せる表示が、消費者の商品選択を妨げると説明しています。紹介動画でも、何を売る商品で、何が優れ、どの条件で買えるのかが伝わる内容を確認します。
品質や規格、効果など、商品の内容についての不当表示が優良誤認です。価格や取引条件についての不当表示が有利誤認です。どちらも、実際のものなどより著しくよいと一般消費者に誤認される表示を問題にします。単に表現が目立つかではなく、根拠のある説明と、消費者が受け取る意味が合っているかを見ます。
クリエイターが話す場合も、企業とは別の人が投稿したという理由だけで確認を終えません。消費者庁のステマQ&Aは、自社が供給する商品の取引に関する表示で、その内容の決定に関与した事業者を規制対象とする考え方を示しています。依頼内容や、企業が渡した説明を、本人が公開する内容へ対応させます。
企業が用意した商品資料に誤りがあれば、その説明を本人が正確に読んでも、商品の事実と合わない紹介になります。本人の言い方だけを直す前に、自社が何を根拠として渡したかを確認してください。商品の種類、性能を確認した条件、販売価格の根拠を、資料へ戻れる形でそろえます。
広告と分かる表示を付ける確認と、商品の説明の確認は分けます。広告だと分かっていても、効果や価格を誤って受け取る内容があれば、その内容を見直す必要があります。社内で「PRの確認は済んだ」と言う場合も、それを品質や価格の確認まで終えた意味にしないようにします。
依頼の打ち合わせでは、本人に必ず伝えてほしい商品の特徴だけでなく、その根拠が適用される範囲も共有します。どの商品を、どんな条件で確認した説明なのかが分かれば、本人が話を広げたいときに質問を戻せます。商品担当と価格を決める担当の確認を、紹介の文面へ結び付ける作業です。
02品質・お得さ・広告の関係を、別々の欄で確認します
紹介で使う言葉を確認するときは、何についての説明かを先に分けます。「よい商品」という話でも、品質の事実、使った場面での感想、価格の条件は同じではありません。商品の内容を説明する根拠と、安く買える条件を示す記録を、別に準備します。
次の表は、紹介動画で取り違えやすい説明を、確認する資料へ対応させたものです。言葉を挙げたこと自体で、個別の表示を違反と決める表ではありません。何を確かめれば、その紹介の意味と実際の条件を照合できるかを整理しています。
| 確認する種類 | 紹介で気を付ける説明 | 企業が先にそろえる根拠・条件 |
|---|---|---|
| 優良誤認に関わる品質 | 素材や内容を、実際より優れた物として伝えていないか | 対象の商品、仕様、素材などを確認した資料 |
| 優良誤認に関わる効果・性能 | 確かめた条件を超える効果が得られると伝えていないか | 何をどの条件で確認した説明かが分かる資料 |
| 優良誤認に関わる比較 | 他の商品よりよいという説明が、比較した事実と合うか | 比較する対象と条件、その根拠 |
| 有利誤認に関わる価格 | 誰でもその価格で買えるように伝えていないか | 実際の販売価格、対象の商品と購入条件 |
| 有利誤認に関わる二重価格 | 通常価格など、比較に使う価格の内容が曖昧でないか | 比較する価格の性質と、販売の記録などの裏付け |
| 有利誤認に関わる期間 | 「今だけ」という説明と、実際に適用する期間が合うか | 始まる時点、終わる時点、紹介を公開する予定 |
| 有利誤認に関わる対象者 | 条件のある特典を、全員が使えるように伝えていないか | 利用できる人と、満たす必要がある条件 |
| ステマに関わる関係 | 企業からの依頼による表示だと、消費者が判別できるか | 依頼の関係と、広告としての表示の確認 |
| 打消し表示の見せ方 | 小さな注意書きで、強い説明を訂正したつもりになっていないか | 強調する説明と、その条件が一緒に伝わる見せ方 |
| 映像と説明の対応 | ある商品の根拠を、別の商品にも共通する説明にしていないか | 映す商品と、使う根拠を結び付けた控え |
品質・価格・広告の関係を分ける確認表(消費者庁の公的資料に基づき編集部作成)
効果や性能を話してもらう場合は、企業の資料を単に添付するだけでなく、本人が使いたい説明と対応させます。資料に書かれている対象や条件が違うなら、どこまでの説明として使うかを確認します。本人が分かりやすく言い換えたことで、元の資料より広い意味が伝わっていないかも見ます。
消費者庁は、効果や性能の表示について、合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる制度も説明しています。紹介を始めてから根拠を探す形にせず、使う説明と資料を先にそろえてください。資料があるという事実だけで、どの言い方にも使えると決めないことが大切です。
確認した記録には、商品の名称だけでなく、種類や条件を見分けられる情報も残します。同じシリーズでも、サイズやセット内容が違えば、価格や性能の説明の対象がずれる場合があります。本人へ送った商品と、紹介する商品、根拠の対象をそろえると、後から確認へ戻りやすくなります。
薬機法に関わる効能の範囲も確認したい場合は、インフルエンサーと薬機法の企業側の確認へつなげてください。今回の表は、品質と価格をどう裏付けて渡すかという整理です。個別表現がどの法律に当たるかを、肩書きや商品名だけで一律に判断するものではありません。
03「今だけ」「通常価格」は、根拠と適用条件を決めてから渡します
「今だけ安い」「通常価格よりお得」という説明を本人へ渡す前に、何と比べて、誰が、いつ、どの条件で買える価格なのかを確認します。値引きの幅だけでは、表示の内容は決まりません。紹介する商品の種類や、条件を満たした場合の価格が、動画の説明と合う必要があります。
消費者庁の二重価格の説明は、同じではない商品の価格を比較に使う場合や、比較対照価格について実際と異なる表示や曖昧な表示をする場合を挙げています。比較対照価格とは、販売価格と並べて示す、比較のための価格です。「通常価格」という名前を付けることと、その価格の根拠を持つことを分けて考えます。
過去の販売価格を比較に使う場合は、同じ商品について、いつ、どの程度の期間販売していた価格かを確認します。公式の説明には「最近相当期間にわたって販売されていた価格」という考え方があります。自社がその価格を記録した時点だけを取り出さず、販売期間を含めて根拠をそろえてください。
| 渡す説明 | 先に確認すること | 本人へ渡す内容 | 変更時の確認 |
|---|---|---|---|
| 通常価格との比較 | どの商品の、どんな性質の価格を比較に使うか | 比較する価格の説明と、その裏付け | 別の商品や別の条件へ移していないか |
| 過去の価格との比較 | いつ、どの程度の期間販売されていた価格か | 販売の記録に対応する説明 | 参照する時期と商品がずれていないか |
| セール価格 | 実際の価格、対象となる種類やセット | 紹介する商品と価格の対応 | 動画と販売先の条件が合うか |
| 期間限定の説明 | 適用期間と、公開・再利用の予定 | 開始と終了の条件が分かる文面 | 終了後にも同じ説明が残らないか |
| クーポン利用後の価格 | 対象者、利用の条件、対象の商品 | 価格だけでなく、使うための条件 | 別の特典との関係を確認できているか |
| 総額に関わる条件 | 送料など、購入時の負担に関わる条件 | 説明する金額に含む範囲 | 安さを伝える文面が条件を外していないか |
| 将来の価格との比較 | 表示する将来の価格に十分な根拠があるか | 企業が確認した価格の位置付け | 実際の販売の予定と合うか |
価格の説明を依頼する前の確認(消費者庁の二重価格表示・価格表示ガイドラインに基づき編集部作成)
将来の価格を比較に使う場合も、予定と呼べば十分なわけではありません。消費者庁は、表示した将来の価格に十分な根拠がない場合、不当表示に当たるおそれがあると説明しています。本人が話しやすい金額を先に作るのではなく、企業が決めた販売の条件を確認して渡します。
価格の文面には、確認した時点と、使う予定の範囲を控えます。本人が撮影する段階では条件が合っていても、公開する予定がずれれば、同じ説明を使えるか確認が必要になります。再利用する動画についても、以前の価格をそのまま発言している場面を、どの条件で使うか見直します。
条件が変わったら、価格を示す字幕だけでなく、声に出している説明も確認します。映像の説明文だけを直した場合、音声では別の価格や期限が伝わることがあります。変更する箇所を、商品の担当と価格の担当、本人の間でそろえてから公開する形にします。
本人へ渡す価格の一覧は、金額と条件を離して保存しないようにします。動画の構成を作る際に金額だけが抜き出されると、対象者や利用条件が落ちる原因になります。商品、説明する価格、その条件、使う予定を同じ行で確認できる形にしてください。打ち合わせで条件を変えた場合も、口頭の合意だけに残さず、本人が参照する一覧へ反映します。
クーポンやセールの組み立て方は、クーポン・セールの活用方法にまとめています。採算を含む価格の決め方は、TikTok Shopの価格戦略を参照してください。ここで決めるのは値引きの相場ではなく、紹介する人へ渡す価格の根拠と条件です。
04注意書きは、強調した説明と合わせて伝わるかを確認します
打消し表示は、強調した説明についての例外や条件、制約を補う表示です。たとえば、価格の適用対象や、性能を確認した条件を示す注意書きが考えられます。小さく書いてあることを確認するだけでなく、強調した説明を見る人が、その条件も理解できるかを確認します。
消費者庁の「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」は、文字の大きさだけでなく、配置や表示時間などを含む伝わり方を扱っています。動画で大きな文字と音声で強く伝えながら、条件を小さく短く出すだけの形になっていないかを見ます。決まった文字サイズだけで、十分な表示だと判断しないようにします。
| 確認する点 | 企業と本人が見ること | 見直す方向の例 |
|---|---|---|
| 強調する説明との関係 | 注意書きが、何についての条件か分かるか | 対象の商品や説明に結び付けて示す |
| 文字の大きさと見やすさ | ほかの文字や背景に埋もれていないか | 実際の画面で読み取れる見せ方へ変える |
| 表示する時間 | 動画を見ながら内容を理解できるか | 条件を読むための見せ方と構成を見直す |
| 音声と文字 | 音声の強い説明に対し、条件が文字だけで分離していないか | 条件を含む説明全体を組み直す |
| 条件の内容 | 強調した説明から普通は予想できない重要な制約が隠れていないか | 安さや性能を強調する文面そのものを見直す |
| 前後の場面 | 条件を出す前に、別の説明へ切り替わっていないか | 同じ商品の説明として受け取れる順番へ整える |
| 紹介全体の意味 | 注記を含めて、実際の内容と条件が正しく伝わるか | 注記を増やすだけで終えず、強調する部分へ戻る |
動画の打消し表示を確認する観点(消費者庁の実態調査報告書と留意点に基づき編集部作成)
打消し表示の内容が、強調した説明と大きく食い違っている場合は、注意書きだけを工夫する前に、強調する部分へ戻ります。「誰でも使える」と受け取る説明の後で、対象が限定される条件を付けるといった構成では、全体として何が伝わるかを確認する必要があります。
注意書きは、どこかに置けば広告全体の意味が変わるというものではありません。消費者庁の資料は、強調表示と打消し表示を合わせて、消費者が受ける印象や認識を問題にしています。本人へ依頼する際も、必須の注記を渡すだけでなく、何の条件を伝えるための説明かを共有します。
確認では、制作ファイル上で見えたという記録だけにしないようにします。動画の流れの中で、強調した言葉と条件を受け取れるかを見ます。企業の確認担当が止めながら読めたことと、視聴中に理解できる見せ方は別です。条件を伝えるために、声に出す説明も含めて組み直す方法を相談します。
同じ動画で違う商品や特典を続けて紹介するときも、それぞれの条件が分かるかを確認します。消費者庁の留意点は、複数の強調表示と打消し表示が登場する場合の情報量にも言及しています。最初の条件を覚えたまま、次の説明も読めると決め付けないようにします。本人へ戻す際は、どの商品にどの条件を添えるかを具体的に示します。
該当するかは専門家・所管の窓口に確認をしてください。相談する場合は、強調した説明、注意書き、対象商品の条件が分かる資料と、動画の前後をそろえます。単語だけを切り出さず、実際に消費者が接する表示として何を確認したいかを伝えます。
05ステマの点検へは、品質と価格の確認内容を分けて渡します
商品の品質や価格の説明を確認したら、広告であることが分かるかの点検へつなげます。企業から依頼を受けた紹介などについて、消費者に事業者の表示と判別できるかを確認する作業です。品質・価格・広告の関係を別々に記録すれば、どの確認が残っているか分かります。
ステマの表示を点検する詳しい手順は、TikTok Shopのステマ規制と表示の確認を使ってください。ここでは同じ点検表を作り直さず、今回整理した商品の根拠と、本人へ渡した条件を一緒に引き継ぎます。
| 引き継ぐ内容 | 残す記録 | 別に確認すること |
|---|---|---|
| 品質・効果・性能 | 対象商品と、使う説明を裏付ける資料 | 広告であることが判別できるか |
| 価格と比較の根拠 | 販売価格、比較する価格の性質と記録 | 紹介に示す条件が変わっていないか |
| 期限と適用条件 | いつ、誰が、どの商品に使える説明か | 公開する予定と条件が合うか |
| 注意書き | 強調した説明と、合わせて伝える条件 | 動画全体で伝わる内容と表示の明瞭さ |
| 本人へ渡した資料 | 依頼した文面と、確認した版 | 変更があった場合に誰へ戻すか |
広告表示の点検へ渡す記録(編集部作成)
修正の連絡でも、どの確認について戻しているかを明示します。商品の説明を直す連絡なのか、価格の条件を直す連絡なのか、広告の関係を明瞭にする連絡なのかを分けます。本人が対応した内容が、一部の確認だけなのに、すべて完了した扱いになることを避けるためです。
購入者の声やレビューを依頼する形を考える場合は、レビュー依頼のルールも参照してください。紹介する人が変わっても、商品の根拠と条件を確認する仕事は引き継ぎます。企業が用意した説明を、別の人の声で伝えるから確認が要らなくなる、と考えないことが大切です。
紹介を続ける際は、商品資料と価格の記録を更新し、本人へ渡す版をそろえます。条件が変わる説明は、使う予定と合わせて管理します。新しく使う表現が出たときも、前に似た紹介をしたことだけで判断せず、その商品の根拠と条件へ戻して確認してください。
06根拠と条件をそろえ、品質・価格・広告表示を分けて確認します
クリエイターへの紹介依頼では、優良誤認、有利誤認、ステマを分けて確認します。効果や性能の根拠と、販売価格や期限の条件を企業がそろえ、本人へ渡します。「通常価格」や「今だけ」は、その説明を使う商品と時期に対応する記録へ結び付けてください。
打消し表示は、注記があるかだけで終えず、強調した説明と合わせて何が伝わるかを見ます。品質や価格の確認と、広告であることの点検を分けて残せば、本人へ戻す修正も具体的になります。根拠と条件を更新しながら、次の紹介へ引き継ぐ形にします。
07よくある質問
紹介前の確認は、本人が使う説明と、企業が持つ根拠を結び付ける作業です。言葉の一覧だけでなく、商品と条件をそろえます。
以下では、価格や注意書きの説明を依頼するときに迷いやすい点を整理します。個別の違反を単語だけで決めず、紹介全体で何が伝わるかを確認します。
PRと表示する予定なら、商品の効果や価格の確認は省けますか?
通常価格と呼ぶ金額は、社内で決めた名前だけで説明できますか?
公開予定がセール期間の後へずれたら、どの説明を見直しますか?
注意書きを大きな文字にすれば、それだけで十分ですか?
安さを音声で強調し、条件を字幕だけにする場合は何を確かめますか?
根拠資料は、紹介する本人へすべて渡す必要がありますか?
LEAMの「クリエイターアサインパック」は、直近の売上の記録を確かめて選んだクリエイター複数名に、商品の紹介をまとめて依頼できるプランです。候補選び・依頼・進行の管理・投稿の確認まで当社が行います。商材やご予算に合うかどうかから、ご相談ください。
参考情報
- 消費者庁:表示規制の概要
- 消費者庁:二重価格表示
- 消費者庁掲載:不当な価格表示についての景品表示法上の考え方
- 消費者庁:打消し表示に関する実態調査報告書(一部訂正)
- 消費者庁:打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点
- 消費者庁:ステルスマーケティングに関するQ&A
消費者庁の資料を2026年11月6日に取得しました。優良誤認・有利誤認、比較する価格の根拠、打消し表示の方法と内容、表示の内容の決定に関与する事業者の説明を参照しています。確認表は、紹介を依頼する企業向けに編集部が整理したものです。調査の割合や、固定の文字サイズ・表示秒数は掲載していません。