インフルエンサーと薬機法|TikTok Shopで頼む企業の確認
TikTok Shopでクリエイターへ商品紹介を頼むとき、薬機法の確認は話す本人だけの仕事ではありません。依頼する企業が、商品の区分、説明できる範囲、確認する資料をそろえて渡します。公開された動画では、声に出した言葉だけでなく、字幕や映像を合わせて何が伝わるかを見ます。
この記事では、化粧品・医薬部外品・健康食品・雑貨の確認表と、依頼時に渡す文面をまとめます。個々の言葉を違反例として並べるより、どの商品について何を根拠に確認するかを、企業側の作業として整理します。
01クリエイターの発言も、広告として伝える内容を確かめます
薬機法は、医薬品や医薬部外品、化粧品などの品質や有効性、安全性に関する法律です。厚生労働省が掲載する第66条では、医薬品等について虚偽や誇大な内容を広告し、記述し、流布することを禁じています。対象は「何人も」とされており、会社が直接話すか、クリエイターが話すかだけで確認を終えないようにします。
2026年11月6日に取得した厚生労働省「医薬品等適正広告基準」は、SNSを含むすべての媒体の広告を対象にしています。TikTok Shopの紹介も、広告の内容として何を伝えているかを確認する必要があります。本人の話し方を尊重することと、企業が商品の説明を確認することは、両立させて進めます。
第66条は、明示か暗示かを問わず、虚偽や誇大な広告を禁じています。直接言い切っていなくても、映像や前後の言葉から、商品の効果について別の意味が伝わる場合があります。確認を文章の読み合わせだけで終えず、紹介の中でどの商品にどの説明が結び付くかを見ます。
企業が準備するのは、本人へ渡せる商品の事実と、その根拠です。どの商品を送ったか、どの区分の商品か、どの説明を確認済みかを対応させます。担当者が知っていることと、広告で使える説明を同じものにしないようにしてください。商品担当や確認の窓口から受け取った資料へ戻れる形にします。
依頼をする際は、本人へ「薬機法に気を付けてください」と伝えるだけで済ませないことが大切です。商品の区分も、使える説明の範囲も分からなければ、本人は何を確かめればよいか判断しにくくなります。会社が把握している商品資料と、確認へ戻してほしい話題を具体的に渡します。
この準備は、PRの表示を付ける作業とも分けます。広告であると伝わる表示と、商品の効能や性能をどこまで説明できるかは、別の確認です。広告だと分かるようにしたことだけで、効能の確認まで済ませた扱いにしないようにします。まず、紹介を頼む商品の区分へ戻ります。
02商品の区分を確かめてから、説明する範囲と根拠をそろえます
化粧品、医薬部外品、健康食品、雑貨という呼び名を、依頼書の見出しだけで決めないようにします。実際に販売する商品について、製造販売元などから区分と説明資料を確認します。似た容器や似た使い方の商品でも、確認する根拠が同じとは限りません。
医薬品等適正広告基準では、承認等を要する商品の効能効果や性能の表現は、その承認等の範囲を超えてはならないとしています。承認を要しない化粧品は、通知で定める化粧品の効能の範囲を超えないことが基準です。表現を考える前に、その商品で参照する資料を決めておきます。
| 商品の区分 | 説明の前提として確かめる物 | 依頼する企業の確認 | 本人へ渡す情報 |
|---|---|---|---|
| 化粧品 | 実際の商品の区分と、化粧品の効能の範囲に対応する説明資料 | 紹介で述べる内容が、商品の説明と定められた範囲に合うか | 確認済みの特徴、使用方法、注意事項と、その確認先 |
| 医薬部外品 | 商品の区分と、その商品で承認された効能効果などの資料 | 別の商品で認められた説明を、そのまま移していないか | 対象商品の資料に基づく説明と、質問を戻す窓口 |
| 健康食品 | 食品としての区分、商品情報、制度上の表示を行う場合はその内容 | 医薬品的な効能効果を広告する内容になっていないか。食品に関わる表示も確認する | 商品の事実と、効能や身体への作用を問われた場合の確認手順 |
| 雑貨 | 何のための商品か、製造販売元などが示す区分と根拠 | 雑貨という呼び名だけで決めず、医薬品等としての区分に関わる説明がないか確認する | 確認済みの用途と使い方、未確認の作用を広げないための連絡先 |
区分ごとの確認表(厚生労働省の広告基準・食品と医薬品の区分資料、消費者庁の健康食品資料に基づき編集部作成)
健康食品では、食品という名前で売っていることだけで、医薬品的な効能効果の確認を外せません。厚生労働省の区分に関する資料は、成分や表示された効能効果、形状、用法用量などを踏まえて判断する考え方を示しています。表現だけを先に借りず、商品の資料へ戻して確認します。
消費者庁の健康食品の留意事項も、医薬品的な効能効果を標ぼうする場合の薬機法上の扱いに言及しています。食品の表示には、薬機法以外の決まりも関わります。健康食品だから、どんな健康の説明でも同じように扱えるとは考えません。食品の区分と制度上の表示に応じた確認を、社内で行います。
雑貨の場合も、商品の呼び名だけを理由に確認を省かないようにします。身体への作用を紹介の中心にする企画なら、まず商品が何に当たるかを資料で確かめます。ここで企業が行うのは、雑貨の一言で可否を決めることではありません。未確認の区分や説明を、本人へ確定した情報として渡さないことです。
商品の一覧と、本人へ送るサンプルにも、同じ識別情報を付けておきます。シリーズ名だけで管理すると、別の種類の商品資料を渡してしまう原因になります。パッケージや説明が変わった場合は、資料がどの商品に対応するかを確認し直します。以前に確認した説明を使うときも、本人が紹介する物と同じ商品であることを確かめてください。
化粧品の見せ方や使用前後の企画は、化粧品をTikTok Shopで紹介する準備にまとめています。健康食品の企画と説明の整理は、健康食品の表現と紹介の準備を参照してください。ここでは、その企画を誰へ頼む場合も使える、企業の確認の流れをそろえます。
03言わないでほしいことは、商品資料と確認へ戻す手順を添えて渡します
本人へ避けてほしい説明を伝えるときは、禁止語だけを羅列しないようにします。どの商品について、どこまでの説明を確認したかを先に渡してください。そのうえで、資料にない効能や安全性の話を求められた場合は、推測で答えず、会社の確認窓口へ戻してもらう形にします。
厚生労働省の基準は、効能効果や安全性が確実であると保証するような表現も制限しています。また、基準の解説では、承認等の範囲外の効能を実際に有している場合でも、未承認等の効能を広告してはならないと説明しています。本人が経験したかどうかだけで、商品資料にない説明を加える判断はできません。
| 本人へ伝えること | 渡し方の例 | 企業が用意する物 |
|---|---|---|
| 対象となる商品 | 送付する商品と種類、参照する資料を対応させる | 対象の商品情報と、資料の版 |
| 確認済みの説明 | 使い方と特徴のうち、確認した範囲を示す | 根拠となる箇所と確認した担当 |
| 追加しない説明 | 資料にない効能や、効果・安全性を保証する言い方を加えず、確認へ戻してほしいと伝える | 相談する窓口と、回答する担当 |
| 見せ方のすり合わせ | 本人が変えたい場面や言葉を、映像と一緒に確認する | 確認する動画の版と、変更点の控え |
| 質問が出た場合 | その場で結論を作らず、質問の内容を残して会社へ返す | 回答を資料へ戻す手順 |
| 公開前に渡す物 | 音声・字幕・説明文を合わせて確認できる形にする | 誰がどの内容を見て返事をするかの一覧 |
表現の確認を依頼するときの項目(編集部作成。効能・安全性に関する前提は厚生労働省の基準と解説を参照)
文面は、たとえば次のように渡します。商品の資料と確認窓口を実際の内容へ置き換え、本人がどこまで相談すればよいか分かる形にしてください。相手に法律の最終判断を求める文面にしないことが大切です。
今回ご紹介いただく商品について、商品の区分と、説明の確認に使う資料をお送りします。使用方法や特徴は、添付した資料の内容に沿ってご相談させてください。資料にない効能や身体への作用、効果や安全性が確実だと受け取られる説明は加えず、質問が出た場合は当社窓口へお知らせください。言葉だけでなく、字幕や映像を合わせて何が伝わるかも確認します。見せ方を変えたい場合は、変更する箇所と動画をお送りください。確認した内容は、資料の版と合わせてお返しします。
この文面は、言い換えればどんな説明でも使えるという案内ではありません。本人から新しい表現が届いたら、その商品の根拠へ戻して確認します。「この言葉を別の言葉に直す」だけでなく、身体へのどんな作用を伝えようとしているかを確認する作業です。
説明を修正するときは、依頼時の資料も更新します。本人へ返した回答と、社内に残る資料の内容が違うと、別の紹介者へ古い説明を渡す原因になります。確認した商品の情報、変えた説明、残った質問を同じ場所でたどれるようにしてください。本人ごとの話し方と、共通で守る商品の事実を分けて記録します。
04公開後は、商品の説明が伝わる箇所を示して修正を依頼します
公開された投稿では、依頼時の文面と同じ言葉があるかだけを確認しません。どの商品を見せながら、何の効果や性能を伝えているかを、音声、字幕、映像、説明文を合わせて見ます。明示と暗示の両方を対象にする第66条の考え方を、企業の点検する場所へ落とし込みます。
点検で気になる箇所があれば、動画の時間位置や表示された文言を控え、参照する商品資料を添えます。本人へ「薬機法的に危ない」とだけ伝えるのではなく、何が未確認で、何を確認する必要があるかを明確にします。個別表現の可否を企業が把握していない場合は、確認中の事項として戻します。
| 投稿で見る所 | 確かめること | 修正を頼むときに添える物 |
|---|---|---|
| 音声 | 資料で確認した効能や使い方と、話している内容が合うか | 発言の時間位置、該当する商品資料 |
| 字幕・テロップ | 音声より強い意味や、追加の効能が出ていないか | 表示された文言と、確認したい意味 |
| 商品を見せる映像 | 説明する商品と映っている物が対応するか | 対象の商品、気になる場面の位置 |
| 映像と言葉の組み合わせ | 別の作用や、確実な効果を暗示する内容になっていないか | 場面の前後を含む確認用の範囲 |
| タイトル・説明文 | 動画で確認した範囲を超える説明が足されていないか | 該当の文章と、どの資料へ戻すか |
| 再編集した動画 | 元の確認時から、説明と映像の関係が変わっていないか | 元の版、変更後の版と変更した内容 |
企業が公開内容を確認する場所(公的資料の考え方に基づき編集部作成)
修正を依頼する文面も、断定した違反名だけを伝える形にしないようにします。たとえば「字幕の該当箇所は、添付資料で確認した説明より広い作用を伝える内容に見えるため、いったん説明を外して、資料と照合した案をご相談させてください」と伝えます。どの商品の、どの説明についての依頼かが分かる形です。
言葉を削った後も、映像や残った字幕で同じ意味が伝わらないかを見ます。内容を短くした結果、使い方の前提が消えてしまう場合もあります。直した言葉だけを切り出して確認するのではなく、紹介の前後を含めて読み直してください。元の確認と変更後の内容を、同じ商品資料へ対応させます。
複数の商品を同じ動画で紹介している場合は、説明がどの商品を指すかも見ます。ある商品について確認した効能を、別の商品にも共通する説明のように並べないためです。確認用の控えでは、商品の切り替わる場面と、その前後の発言を対応させます。本人へ戻す際も、動画全体への曖昧な指摘ではなく、対象の商品と場面が分かるように伝えます。
薬機法に関わる効能の確認と、広告であることの表示の確認は、記録を分けて進められます。どちらかを直した返事が来ても、もう一方を確認済みにしないためです。広告表示の点検の詳しい手順は、TikTok Shopのステマ規制と表示の確認を参照してください。
点検で見つかった質問は、次の依頼にも使える形で残します。誰がどの商品について、どの資料を見て確認したかを記録します。本人への修正の連絡と、社内の商品資料の更新が別々のままにならないようにすると、同じ確認を次の紹介者へ戻せます。
05判断に迷ったら、商品と表現をそろえて所管の窓口へ確かめます
迷う表現は、単語だけを抜き出して相談しないようにします。商品が何に当たるか、どの場面でどの説明をするか、どんな資料を参照したかをそろえます。所管の窓口や専門家が、実際に確認する状況を把握できるようにするためです。
該当するかは専門家・所管の窓口に確認をしてください。会社の確認担当が、どの商品について何を確かめたいのかをまとめ、返ってきた回答を紹介者へ伝えます。本人へ質問を転送するだけで終えず、会社として依頼する説明へ反映するところまでを決めます。
| 相談時にそろえる物 | まとめる内容 | 記録へ戻すこと |
|---|---|---|
| 商品の情報 | 対象の商品と種類、区分の確認資料、説明の根拠 | 今回の回答が対象にする商品 |
| 紹介の内容 | 動画や文章、音声、字幕と、確認したい時間位置 | どの版を見て確認したか |
| 迷っている点 | どんな効能や作用を伝える内容に見えるか | 回答を得た事項と、引き続き確認する事項 |
| 公開の状況 | 制作中か公開済みか、変更を相談できる窓口 | 誰が次の連絡と修正を担当するか |
| 依頼に使う資料 | 本人へ渡した説明と、確認後に変える内容 | 次の依頼へ渡す資料の版 |
相談する前に用意する資料(編集部作成)
回答を受け取った後は、別の商品や別の映像へそのまま当てはめないようにします。同じ言葉でも、商品の区分や前後の説明が変われば、相談した状況とずれるためです。回答が対象にした範囲を控え、変更がある場合は、その変更を含めて確認します。
商品資料と依頼文面を更新したら、本人に渡す内容も同じ版へそろえます。複数の紹介者へ依頼している場合は、共通の説明を直すのか、特定の投稿の組み合わせを直すのかを分けます。すべての人へ同じ言い換えを配る前に、対象の商品と説明が合っているかを確認してください。
商品の価格や取引条件など、効能以外の表示も合わせて整理したい場合は、インフルエンサー起用と景品表示法の確認へつなげてください。化粧品の紹介者を選ぶ準備は、化粧品のクリエイター起用で整理しています。商品の区分と表現の確認を、依頼や公開の予定と一緒に進めます。
企業が用意する確認の仕組みは、本人の発信をすべて同じ台本にするためのものではありません。商品の事実をそろえ、未確認の効能を広げないためのものです。本人が工夫する見せ方と、商品資料へ戻す説明を分けることで、質問が来たときの対応も具体的になります。
06商品区分と根拠をそろえ、確認した内容を依頼と投稿へつなげます
薬機法に関わる表現の確認は、クリエイターへ注意を促すだけでは進みません。企業が商品の区分と資料をそろえ、説明する範囲を本人へ渡します。化粧品、医薬部外品、健康食品、雑貨を同じ根拠で扱わず、対象の商品へ戻って確認してください。
公開後は、音声、字幕、映像、説明文を合わせて、何が伝わるかを見ます。修正の依頼には、対象の箇所と参照資料を添えます。相談した回答と直した内容を商品資料へ戻し、次の依頼にも同じ確認を引き継げる形にします。
07よくある質問
依頼企業が迷いやすいのは、確認した資料と、実際の紹介がずれた場面です。どの商品を、どの版の資料で確認したかを残します。
以下では、本人へ渡す説明と、公開内容を企業が見直す際の確認を整理します。個別の言葉だけで可否を決めず、商品の区分と紹介の文脈へ戻ります。
依頼する商品が別の種類に変わったら、同じ確認資料を渡せますか?
本人へ避けてほしい単語の一覧だけを渡せば、確認できますか?
音声は資料どおりでも、字幕だけ違う場合はどこを見ますか?
修正を頼むときに、別の言い換えをすぐ提案してよいですか?
確認した表現を、別の商品を映した動画にも使えますか?
所管の窓口へは、気になる言葉だけ送れば足りますか?
LEAMの「クリエイターアサインパック」は、直近の売上の記録を確かめて選んだクリエイター複数名に、商品の紹介をまとめて依頼できるプランです。候補選び・依頼・進行の管理・投稿の確認まで当社が行います。商材やご予算に合うかどうかから、ご相談ください。
参考情報
- 厚生労働省:医薬品等の広告規制について
- 厚生労働省:医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日改正)
- 厚生労働省:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等
- 厚生労働省:無承認無許可医薬品の指導取締りについて・医薬品の範囲に関する基準
- 消費者庁:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(令和4年12月5日改定)
公的資料を2026年11月6日に取得しました。第66条、適正広告基準の対象媒体と効能等の表現の範囲、食品と医薬品の区分に関する考え方を参照しています。本文の確認表と依頼文面は、これらの資料に基づく編集部の整理です。個別商品の表現の可否や、TikTok Shopの出品可否を一律に判断する説明はしていません。