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市場動向TikTok Shopの市場規模と今後|日本市場はどこまで伸びるか
TikTok Shopの世界の流通総額(GMV)は2024年に約332億ドルへとほぼ倍増し(Momentum Works推計)、日本でも2025年6月30日の提供開始から1年で「流通総額の70%以上がコンテンツ起点」という公式データが出ています。一方で、日本市場の規模を金額で示す公式データはまだ存在せず、根拠の曖昧な数字が独り歩きしやすいテーマでもあります。この記事では、TikTok公式発表・公的統計・大手調査会社の公開データだけを出典つきで整理し、日本市場がどこまで伸びるのか、そして「市場が伸びる中で自社はどう動くべきか」を実務の目線で解説します。
- 日本と世界のTikTok Shop市場規模について「出典つきで言える数字」と「まだ言えない数字」
- 中国・東南アジア・米国の先行事例から読む、日本市場の成長シナリオ
- 市場の伸びに乗るための参入判断を、損益とクリエイター起用から組み立てる手順
LEAMは市場データを毎営業日蓄積し、商材ごとの向き・不向きを一次データから判断しています。参入すべきか迷っている段階のご相談も歓迎です。
01日本は開始1年強で「売れる土台」が整った:公式数値で現在地を掴む
TikTok Shopの日本での提供開始は2025年6月30日です。まだ1年強の若い市場ですが、TikTokが公表した半年時点(TikTok Newsroom・2026年2月3日)と1年時点(ByteDance株式会社・2026年7月28日)のデータは、単なる「話題先行」ではなく購買の場として機能し始めていることを示しています。
公式発表で確認できる主な数値を、半年時点と1年時点に分けて整理します。
| 指標 | 公表値 | 補足 |
|---|---|---|
| コンテンツ起点の流通総額比率(半年時点) | 約70% | 動画・LIVE配信等を起点とした購入。2025年6月30日〜12月末 |
| 登録セラー企業数(半年時点) | 約5万店 | 提供開始時の約3倍に増加 |
| TikTok Shopクリエイター数(半年時点) | 約20万人 | 商品を紹介・販売するクリエイター |
| 商品購入利用者数(半年時点) | 20倍以上に増加 | 提供開始時との比較 |
| コンテンツ起点の流通総額比率(1年時点) | 70%以上 | 2025年6月30日〜2026年6月30日。半年時点の水準を1年を通じて維持 |
| うちLIVE配信経由の比率(1年時点) | 約60% | コンテンツ経由の流通総額に占めるLIVE配信経由の割合 |
| 商品購入利用者数(1年時点) | 30倍以上に増加 | 2026年6月時点と2025年7月との比較 |
| 購入者の年代構成(1年時点) | 18〜34歳が約4割/35歳以上が約6割 | 「若者だけの市場」ではない。半年時点は約半数ずつだった |
注目すべきは2点です。第一に、流通総額の約70%が動画やLIVE配信などのコンテンツを起点にしていること。検索して買う既存ECと構造が根本的に異なり、「発見から購入まで」がコンテンツの中で完結する「ディスカバリーEコマース」が日本でも成立し始めたことを意味します。第二に、購入者の約6割が35歳以上であること(1年時点。半年時点は約半数でした)。「TikTok=若者向け」という前提で参入を見送っている事業者にとって、この年代構成は判断材料になるはずです。あわせて1年時点では、コンテンツ経由の流通総額のうち約60%がLIVE配信経由と公表されました(ByteDance株式会社・2026年7月28日)。動画で知って買う段階から、ライブで買う段階へ比重が移り始めています。
2026年9月時点で、日本国内のTikTok ShopのGMVを金額で示す公式データはありません(2026年7月28日の1年発表でも、公表されたのは比率と件数で、金額は示されていません)。ネット上には具体的な金額を断定する記事もありますが、出典が確認できない数字は参考程度に留めることをおすすめします。本記事では出典を確認できた数値のみを扱います。
02世界の市場規模は2024年に約332億ドルへほぼ倍増:米国と東南アジアが牽引
日本の今後を考える前に、世界のTikTok Shopがどの規模にあるかを確認します。調査会社Momentum Worksらの推計によれば、TikTok Shopのグローバル流通総額(GMV)は2024年に約332億ドルに達し、前年からほぼ倍増しました。1ドル150円換算で約5兆円規模です。
米国:開始から16ヶ月でGMV90億ドル超に到達した
米国のTikTok Shopは2023年9月の本格開始からわずか16ヶ月で、2024年のGMVが90億ドルを超え、前年比650%成長を記録しました(Momentum Works発表)。米国はTikTok Shopにとって最大の市場となっており、「先進国・成熟EC市場では通用しないのでは」という参入前の懸念に対する、最も強い反証になっています。
東南アジア:2年で約4倍、既存モールと並ぶ存在になった
先行して立ち上がった東南アジアでは、TikTok ShopのGMVがMomentum Worksの推計で2022年の44億ドルから2023年には163億ドルへと約4倍に拡大しました。競合記事ではベトナムの市場規模が金額で語られることもありますが、当社が出典を確認できたのはこの地域全体の推計値です。国別の金額を断定するより、「既存ECモールが強い市場でも、コンテンツ起点のECが数年で主要プレイヤーになった」という構造を掴む方が、日本の今後を読む上では役立ちます。
さらにMomentum Works(2026年8月)は、2026年上半期のグローバルGMVを503億ドル(前年同期比92%増)と公表し、通年で初の1,000億ドル超えを見込んでいます。世界のTikTok Shopは減速どころか加速局面にあり、日本はその中で立ち上がったばかりの市場という位置づけです。
| 地域・指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 世界全体GMV(2024年) | 約332億ドル(前年からほぼ倍増) | Momentum Works × Tabcut(2025年1月) |
| 米国GMV(2024年) | 90億ドル超(前年比650%成長) | Momentum Works(2025年1月) |
| 東南アジアGMV(2022→2023年) | 44億ドル → 163億ドル(約4倍) | Momentum Works「Ecommerce in Southeast Asia」 |
| 世界GMV(2026年上半期) | 503億ドル(前年同期比92%増) | Momentum Works(2026年発表) |
| 日本:コンテンツ起点比率(2025年下期) | 約70% | TikTok Newsroom(2026年2月) |
いずれも調査会社の推計値であり、TikTok自身は国別GMVを公表していません。絶対額は「規模感を掴む目安」、成長率は「トレンドの向き」として読むのが、実務で数字を扱う際の正しい距離感です。
03先行市場に共通する成長の型は「コンテンツ起点」:原型は中国Douyin
TikTok Shopの成長を先取りして見せてくれたのが、中国版TikTokであるDouyin(抖音)です。数値の詳細は公表されていませんが、Douyinでは動画やライブ配信を起点に商品を購入する行動が広く定着し、EC機能が数年で中国EC市場の主要チャネルの一角へ成長したことが各国のメディアで報じられています。
Douyinが示した「探す買い物」から「出会う買い物」への転換
既存ECは「欲しいものを検索して買う」場所でした。Douyinが確立したのは、「欲しいと思っていなかったものに、コンテンツの中で出会って買う」という購買行動です。ライブ配信が「番組」として視聴習慣に組み込まれ、信頼するクリエイターの紹介が購入の決め手になる。この型が東南アジアへ、米国へ、そして日本へと輸出されているのがTikTok Shopの正体です。
各市場に共通する4つの成長段階
先行市場の歩みを整理すると、①出店者と商品が揃う→②クリエイターの紹介動画が量産される→③ライブコマースが視聴習慣として定着する→④主要ECチャネルの一角になる、という順で市場が立ち上がっています。日本は公式数値から見て、ステージ2からステージ3への移行が始まった段階と読めます。クリエイターは半年時点で約20万人まで増え、1年時点ではコンテンツ経由の流通総額の約60%がLIVE配信経由になりました。ライブが「見る習慣」として定着しきるかどうかが、日本市場の今後を左右する最大の分岐点です。
04日本の伸びしろはEC化率9.78%の先にある:物販15.2兆円から逆算する
日本市場の潜在的な大きさは、公的統計から逆算できます。経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日公表)によれば、2024年の日本のBtoC-EC市場は26.1兆円(前年比5.1%増)、うち物販系は15兆2,194億円(同3.7%増)、物販のEC化率は9.78%でした。
| 指標(2024年) | 数値 | 前年比 |
|---|---|---|
| BtoC-EC市場規模(全体) | 26.1兆円 | +5.1% |
| うち物販系分野 | 15兆2,194億円 | +3.7% |
| 物販系のEC化率 | 9.78% | 上昇傾向が継続 |
| 食品・飲料・酒類のEC市場 | 3兆1,163億円 | +6.4% |
| 衣類・服装雑貨等のEC市場 | 2兆7,980億円 | +4.7% |
追い風:4,200万人のユーザー基盤と「35歳以上が約6割」の購買層
TikTokは2025年11月、日本の月間アクティブユーザー数が4,200万を突破したと公式発表しました(TikTok Lite合算・重複除く。TikTok Newsroom・2025年11月)。同発表は「日本のおおよそ3人に1人にTikTokをお楽しみいただいている」としています。そしてTikTok Shopの購入者は前述のとおり35歳以上が約6割。「利用者が多く、しかも購買力のある年代が実際に買っている」という組み合わせは、市場拡大の前提条件としては十分に揃っています。物販のEC化率がまだ9.78%であることを踏まえると、TikTok Shopの成長は既存ECからシェアを奪うだけでなく、「これまでECで買っていなかった買い物」をECに引き込む形でも起こり得ます。コンテンツ起点の衝動的な出会いは、検索型ECが取り込めなかった需要を掘り起こすからです。
逆風と不確実性:購買習慣・既存モールの強さ・信頼の壁
一方で、日本特有の逆風も直視すべきです。第一に、楽天・Amazonという成熟したECモールが強く、ポイント経済圏も含めて購買習慣が固まっていること。第二に、日本の消費者はレビューや比較検討を重視する傾向が強く、衝動購買型のECに対する心理的ハードルがあると当社の運用でも実感していること。第三に、ライブコマースが過去に日本で何度か試みられながら、中国のような主流化には至っていないことです。これらは「日本では伸びない」根拠ではなく、「中国や東南アジアと同じ速度・同じ形では伸びない可能性がある」という不確実性として織り込むべき要素です。
05市場が伸びても自社が儲かるとは限らない:参入判断は損益から逆算する
市場規模の記事はしばしば「伸びるから乗るべき」で終わりますが、実務では「市場の伸び」と「自社の利益」は別の問題です。市場が2倍になっても、損益設計を誤れば売れるほど赤字になります。参入判断で最初にやるべきは、1個売れたときの手残りを数字にすることです。
先に「1個あたりの手残り」を数字にする
TikTok Shopでは、販売価格から①商品原価、②プラットフォームの販売手数料、③商品を紹介してくれるクリエイターへのアフィリエイト報酬、④送料・梱包費を引いた残りが、広告費と利益の原資になります。この残りが薄い商材は、市場がどれだけ伸びても利益が出ません。逆にここが厚い商材なら、クリエイター起用と広告に投資しながら市場の成長に乗れます。実務的には、参入判断の8割はこの計算で決まると考えてよいでしょう。
販売手数料の料率やキャンペーン条件は改定されることがあります。本記事では特定の料率を記載しません。試算する際は必ずTikTok Shopセラーセンターの最新の公式情報を確認してください。
06成長の中心はクリエイター経由:「誰が売るか」が市場の伸びを決める
日本の公式データが示す「流通総額の約70%がコンテンツ起点」という構造は、事業者にとって明確な示唆を持ちます。TikTok Shopの売上は、商品を紹介するクリエイターの動画・ライブから生まれるということです。半年でクリエイターが約20万人まで増えた一方、彼らが「紹介したくなる商品」と「紹介しやすい条件」を用意できているセラーはまだ限られています。
つまり市場の伸びを自社に取り込む競争は、広告の上手さ以前に「どれだけ多くのクリエイターに、継続的に自社商品を扱ってもらえるか」で決まります。アフィリエイト報酬の設計、サンプル提供の体制、クリエイターへの声かけ──この地味な積み上げが、コンテンツ起点70%の市場における実質的なシェア争いです。当社の運用実感でも、商品力を除くと、この積み上げの差が成果に効いていると感じる場面が多くあります。ただし価格設計や出荷体制が崩れていれば、そちらが先に効いてきます。
LEAMはTikTok Shop特化のMCN(クリエイター事務所)を運営し、商品とクリエイターのマッチングを一次データに基づいて設計しています。セラーの方も、商品を紹介したいクリエイターの方もご相談ください。
07今後を金額で断定できる公開データはまだ無い:追うべきは3つの指標
正直に書きます。「日本のTikTok Shop市場は◯年に◯兆円になる」と断定できる公開データは、2026年9月時点で存在しません。日本のGMVは非公表で、信頼できる第三者予測もまだ出揃っていないためです。根拠のない金額予測を載せるより、「何を見れば市場の伸びが分かるか」を持っておく方が実務では役立ちます。当社が定点観測しているのは次の3つです。
- 公式発表の頻度と中身(セラー数・購入者数の伸び)
TikTokはこれまで半年ごと(2026年2月・7月)に日本の進捗を発表しています。セラー数と購入者数の伸びが続いているかが、市場拡大の最も確かなシグナルです。
- ライブコマース起点の売上比率
先行市場が示すとおり、ライブの定着はステージ3への移行条件です。1年時点の公式発表でコンテンツ経由の流通総額の約60%がLIVE配信経由と示され、比重の移動はすでに始まっています。次に見るのは、この比率がさらに上がるかどうかです。
- カテゴリーと購買層の広がり
美容・食品などの先行カテゴリーから、家電・日用品・地方産品へ広がるか。TikTokが2026年2月に始動を発表した地域産品の取り組み「TikTok Shop Local」(TikTok Newsroom・2026年2月3日。第1弾は2026年3月に香川県高松市、第2弾は6月に沖縄県那覇市で開催)は、プラットフォーム側がカテゴリー拡大に投資する意思の表れです。
LEAMは市場データを毎営業日自動で蓄積しています。日本のTikTok Shopで「いま何が伸びているか」(勢いのあるカテゴリー・売れ方の変化)は、外部ツールの利用規約に沿って掲載可能な形に集計し、無料相談で個別にお伝えしています。
08実務の結論は「様子見」より「小さく検証」:立場別の動き方
ここまでの材料を並べると、実務の結論はシンプルです。世界では市場が加速しており、日本では土台の数字が揃い始めたが、金額の断定はできない。この状況で合理的なのは、大きく張ることでも様子見することでもなく、損益が成り立つ商材で小さく検証を始め、市場の伸びと一緒に学習を蓄積することです。立場別に整理します。
| 立場 | いま取るべき動き | 理由 |
|---|---|---|
| メーカー・D2Cブランド | 主力商品1つで出店し、クリエイターのアフィリエイト動画が増える体制づくりから始める | コンテンツ起点70%の市場では、素材の蓄積がそのまま参入障壁になる |
| 小売・複数商品を扱う事業者 | 全商品を並べず、動画映えする商品に絞ってテストする | 検索型ECと違い「棚の広さ」より「1商品の動画の強さ」が効く |
| これから商材を探す個人・小規模事業者 | 損益構造(図5)が成り立つ商材かを先に確認してから出店する | 登録セラー約5万店の中で埋もれないためには利益余地が必須 |
| クリエイター | TikTok Shopクリエイターとして早期に実績(販売データ)を作る | 市場拡大期は案件の獲得競争より実績づくりが先行者利益になる |
いずれの立場でも共通するのは、「市場が伸びてから入る」のではなく「伸びる過程で学習を貯める」という考え方です。先行市場では、初期からクリエイターとの関係と販売データを積み上げたプレイヤーが、市場拡大の果実を大きく取りました。日本で同じ構図が起きない理由は、いまのところ見当たりません。
09よくある質問
TikTok Shopの日本国内の市場規模(GMV)は公表されていますか?
世界のTikTok Shopの市場規模はどのくらいですか?
日本でもTikTok Shopは米国や東南アジアのように急成長しますか?
今からTikTok Shopに参入しても遅くないですか?
TikTok Shopの市場が伸びる中で、最初に何をすべきですか?
ライブコマースは日本で定着しますか?
1個売れたときの手残りが出せれば、市場が何倍になるかとは別に参入の可否は決まります。売価・原価・送料を伺い、その場で計算します。
参考情報:TikTok Newsroom「TikTok Shop、日本での提供開始から半年が経過」(2026年2月3日)/ByteDance株式会社「TikTok Shop、日本での提供開始から 1 年 ~利用動向データおよび事例を公開~」(2026年7月28日)/TikTok公式発表「日本の月間アクティブユーザー数が4,200万を突破」(2025年11月)/経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)/TikTok Newsroom「TikTok Shop、地域の魅力的な商品を全国へつなぐ新プロジェクト『TikTok Shop Local』を始動」(2026年2月3日)/Momentum Works「Ecommerce in Southeast Asia」・Momentum Works × Tabcut発表(2025年1月)・Momentum Works「TikTok Shop on track to surpass US$100 billion GMV globally in 2026」ほか。市場推計値は調査会社による概算であり、仕様・数値は更新されることがあります。本記事は2026年9月7日時点の情報です。最新は一次情報でご確認ください。本文中で「当社の運用実感」「当社では」と記した内容は、市場統計ではなく当社の支援案件での実務経験にもとづく見解です。